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いまさら聞けない!?「VR」超入門

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f:id:dmmDesktn:20170113171934j:plain©2016 Sony Interactive Entertainment Inc. All rights reserved.

はじめまして! 本ブログで記事を執筆させていただくことになりました、ゲーム・ガジェット好きナード系WebデザイナーのNinjakid(仮名)と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、2016年はPC用の「Oculus Rift」や「HTC Vive」、そして「PlayStation®VR」といったバーチャルリアリティ(以下「VR」)ヘッドセットの発売により一気にVR市場が立ち上がった、いわゆる“VR元年”と呼ばれる1年となり、TVや雑誌などのメディアで連日話題が取り上げられるなどのムーブメントを巻き起こしました。

しかし、「VRは何となく知ってたけど、詳しくはよくわからない…」という方も多いはず。そこで今回は“VR超入門”編として、筆者私物のPlayStation®VR(以下「PS VR」)を題材にし、「VRとは何ぞや?」という初歩の初歩から解説していきたいと思います。

 

VRヘッドセットとは

今回取り上げるのは「専用のヘッドセットを頭部にすっぽり被る」タイプの“ハイエンド”なVR体験(対をなす“ローエンド”VRについては機会を改めて紹介する予定)。

ゴーグル部の内側では左右独立したレンズで視界いっぱいに映像が拡大され、ちらつきのない両眼視差による立体視を楽しめます。

レンズで映像を拡大する関係上、どうしても周辺部分に魚眼歪みができてしまいますが、それを逆算して出力映像にあらかじめ逆の歪みをかけておき、レンズを通した際に正常な像が見えるよう処理されています。

 

青く光るLEDは単なるSF的装飾ではなく、前方に設置したPlayStation®Cameraを通じてPS4に認識され、3次元的な位置を取得する「ポジショントラッキング」に利用されます。

参考記事:トラッキングとは? | VR Inside

 

また、他のVRヘッドセットと比較してのPS VRの特長として“快適な装着性”も挙げられます。優れた重量バランスによって疲れづらく、ゴーグル内部にゆとりを持たせた構造によってメガネをかけたままでも問題なく使用することができます。

 

とりあえず動画で見てみよう

まずは百聞は一見に如かず…ということで、筆者自らプレイし、PS4のShare機能でYouTubeにアップした「サマーレッスン」のゲーム動画をご覧ください(動画やスクリーンショットでは実際に体験した際の迫力がまったく伝わらないのが残念ですが…)。

▲PS VR「サマーレッスン:宮本ひかり」 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 
ざっくり言ってしまうと「VR」とは概ねこんな感じの雰囲気で「視界ほぼすべてが立体映像で覆われ、別世界に入り込んだかのような没入感が得られる」コンテンツを指します。

 

従来型ゲームと比較した体感イメージはこのような感じ。 

f:id:dmmDesktn:20170113171932j:plain▲従来型ゲームとVRゲームの違い。まさに別世界に入り込む感覚(あくまで体感の印象です)

 

では、より具体的な「VR」の定義とは一体どのようなものでしょうか?

  

現代におけるVRの定義とその特性

「VR」の一般的な定義

  • 人間の感覚器官を通して、現実ではない事象がさも実際に目の前にあるかのように感じさせる人工的な技術の総称。
  • 合成された映像・音響や機器装着の効果で、ユーザーの身体を3次元空間内に投影。空間への没入感(immersion)を生む。

現代のバーチャルリアリティの特性

  • 3次元の空間性(Presence)
  • 実時間の相互作用性(Interaction)
  • 自己自己投射性(Autonomy)

 

学術的な定義なのでカタい表現になっていて少々わかりにくいですが、噛み砕いて言うと

  • 立体的な空間があって(3次元の空間性)
  • 自分の行動が影響を及ぼし(実時間の相互作用性)
  • 没入感がある(自己投射性)

といった感じになるようです。

 

もちろん前出の「サマーレッスン」も立派なVRコンテンツである以上、これら3要素を兼ね備えていると考えられます。それでは動画の内容を振り返りつつ、1つずつ確認していきたいと思います。

 

1.「3次元の空間性」

f:id:dmmDesktn:20170113171931j:plain▲PS VR「サマーレッスン:宮本ひかり」 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 

立体的な空間が描画されていること。VR体験の核となる基本的な要素です。

このゲームは海辺に建った家の小さな部屋が主な舞台で、これは後述する“没入感”の表現にとって非常に重要な設定となっています。

 

2.「実時間の相互作用性」

f:id:dmmDesktn:20170113171930j:plain▲PS VR「サマーレッスン:宮本ひかり」 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 

自身の行動によってコンテンツ内に影響を及ぼせること。よりわかりやすく“インタラクティブ性”と言い換えてもよいでしょう。

 

単純に「自分が向いた方向の風景が見える」ことだけでもこれに当てはまりますが、このゲームでは「キャラクターの質問に答える」ことや、「プレイヤーの位置や視線を察知する」といったVRならではの要素によってリアルタイムに展開が変化していくシステムになっています。

 

また、先進的なVRコンテンツにおいては、キャラクターAIと音声で会話したり、グローブのようなインターフェースで物を掴んだり、プレイヤー自身が実際に空間内を歩き回れる、など様々な可能性が研究中。

その一例として視線追跡型VRヘッドセット「FOVE」では「アイトラッキング(視線計測)」が採用され、“(首の動きに頼らず)視線のみで照準を合わせる”、“見ている部分に焦点が合う”、“瞼の開閉を検知する”など、より高度で自然なインタラクションを実現しています。

参考記事:【TGS2016】まるで視線もコントローラー!FOVEの「アイトラッキングシステム搭載」 視線追跡型VRヘッドセット体験レポート | VR Inside

 

3.「自己投射性」

f:id:dmmDesktn:20170113171929j:plain▲PS VR「サマーレッスン:宮本ひかり」 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 

大雑把に言うと、いわゆる“没入感”がこれにあたります。これは体験者の主観による部分が大きいため定義が難しく、未だ研究段階のさなかにありますが、「サマーレッスン」ではどのようにそれを追求しているのでしょうか?

 

VRというと「現実にはありえないような奇抜なシチュエーション」がイメージされがちですが、このゲームは登場キャラクターをごく普通の学生とし、主な舞台も6畳程度の狭さでやや雑然とした部屋。あえて「実際にありえそうなシチュエーション」の再現に徹することで、プレイヤー自身の実体験の記憶を呼び起こす形で生活感のリアリティーが強く伝わってくるようになっています。

また、現実感の再現には視覚だけでなく聴覚も重要な要素。前出の動画の音声をヘッドホンで聴くと、3Dオーディオによる立体音響で「キャラクターがどの位置から声をかけてきているのか」がリアルに分かるようになっています。その他にもエアコンなどの生活音や、窓の外から聞こえてくる波の音など、サウンドに対するこだわりにも並々ならぬものを感じます。

 

まるで魔法のように捉えられがちなVRですが、実際には工夫を丁寧に積み重ねるような“手作り要素”が占める割合が大きく、わずかな演出ミスや不快感によって台無しになってしまうような脆さをはらんでいます。“没入感は一夜にして成らず”といったところでしょうか。

 

VRの将来的な可能性としては、今度さらに「触覚」「嗅覚」「味覚」など、より身体的なフィードバックの導入によって“没入感”が飛躍的に向上していくと予測されます。

 

まとめっぽいこと

今回はゲームを題材にし、VRのごく基礎的な面を紹介させていただきました。

 

“VR元年”という呼び名が示すとおり、技術的にも市場的にも立ち上がったばかりのまだまだ発展途上な分野ですが、だからこそ様々な点で日進月歩の“今”が一番面白いタイミングでもあると思いますし、個人的にも今後の発展に大変期待しています。

直接的にVRコンテンツの制作に携わっているわけではありませんが、Webデザイナーという個人的立場からしても刺激を受ける面はとても多く、従来のセオリーがほとんど通用しないが、だからこそ限りない可能性に満ちているという点はインターネット黎明期にも通ずるところが多く、強く興味を惹かれます。

 

f:id:dmmDesktn:20170113171928j:plain▲PS VR「サマーレッスン:宮本ひかり」 ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 

例えば「ユーザーに何かを選択させる」ためのUIを例に挙げると…

  • 文字の選択肢を空中に浮かせて表示する

といった従来の単純な延長線上にあるものだけではなく、

  • スマホやゲーム機など仮想世界内のデバイスを操作させる(現実の入れ子構造)
  • 紙など、本来静的な素材を動的に展開させる(マテリアルデザイン的手法)
  • 身振り手振りのモーションで意志表示させる
  • マイクからの音声入力で意思表示させる
  • 特定の位置に歩いて移動させる(○×クイズ的な発想)

など多様な表現・手段が考えられるようになり、どれがベストな選択なのかはケースバイケースで検討する必要が出てくるでしょう。研究が進み、表現がこなれてくるにつれて次第に新たなセオリーも生まれてくるものですが、黎明期の手探り感はモノづくりにおいて最も楽しい時期に違いありません。

 

現在のVRは導入の敷居がやや高く、実用されているのもゲーミングや映像作品、医学分野などのごく限られた領域に限られていますが、近い将来(かつてインターネットがそうであったように)急速に我々の生活に密着した存在になっていくことは間違いないといえます。

変革のさなかにある時代の第一歩として、クリエイティブ職に携わる方は「とりあえずVRで遊んでおく」というのも悪くないんじゃないかなーと思います。とりわけVRは「自分で体験しないと本質を理解しづらい」という性質もありますし、難しく考える前にまずは触ってみるのが吉でしょう!

 

次回予告

f:id:dmmDesktn:20170113171927j:plain▲Copyright© 1995-2016 SAMSUNG All Rights Reserved.

 

今回は王道である「ハイエンドVRヘッドセット」の紹介でしたが、次回はVR導入の敷居を下げる試みの「スマホVR」、そしてVRが抱える課題と対策、さらにDMMでのVRコンテンツへの取り組みなどをお伝えしていく予定です。

 

余談

実は、PS VRの個人的な一押しゲームは「Rez Infinite」の方だったりします。

 

▲PS VR「Rez Infinite」 ©2016 Enhance Games / Original Game: ©2001 Sega

 

ローンチタイトルでありながら現時点でのVRゲームの最高峰であり、「Area X」と呼ばれる新ステージは“マスターピース”と呼んで差し支えないほどの驚異的な体験(個人の感想です)。

特にストーリー的なものが語られるわけでもないのですが、あまりにもエモーショナルな光と音の空間表現に「よくわからないが何故か涙が出てくる」という謎の感動を禁じえません。これはVR以前のコンテンツにはあまり例がなかった現象かなと。 

いずれ機会があれば、是非こちらの紹介もしてみたいと思います。